人工甘味料とは?種類や特徴からメリット・デメリット、注意点まで解説
低カロリー食品には必ずといっていいほど使われている人工甘味料。人工甘味料と聞くと「体に悪いイメージがある」「摂りすぎても大丈夫?」と不安に思う方は多いかもしれません。
そこで本記事では、人工甘味料について下記を中心に解説しています。
・人工甘味料とは
・人工甘味料(合成甘味料)の種類と特徴
・人工甘味料のメリット・デメリット
・人工甘味料を摂取するときの注意点
人工甘味料の基礎知識を身につけて、上手に取り入れていきましょう。
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人工甘味料とは
人工甘味料とは、その名の通り、化学合成によって作られた甘味料(添加物)です。
砂糖の数百倍の甘さがあり、少量で味付けができるため、カロリーを抑えた砂糖の代替品として、清涼飲料水やガムなどさまざまな食品に使われています。
人工甘味料は、大きく分けると「糖アルコール」と「合成甘味料」の2種類があります。
・糖アルコール…もともと自然界にある糖質を化学合成したもの
例)キシリトール、ソルビトールなど
・合成甘味料…自然界に存在しない糖質を化学合成したもの
例)アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロースなど
商品に使用される際は、砂糖の甘みに近づけるため複数の人工甘味料が併用されていることが多いです。
人工甘味料(合成甘味料)の種類と特徴
人工甘味料は、糖アルコールと合成甘味料の2つに分けられます。ここでは、本来自然界にはない糖質「合成甘味料」をみていきましょう。
現在日本で使用されている合成甘味料は、アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、サッカリン、ネオテーム、アドバンテームの6種類です。
そのうち、よく使用される4つの合成甘味料を紹介します。
・アスパルテーム
・アセスルファムK
・スクラロース
・サッカリン
アスパルテーム
アスパルテームは、アミノ酸とフェニルアラニンを結合して作られる人工甘味料です。苦味が少なくスッキリとした甘さが特徴で、甘味度は砂糖の200倍といわれています。
日本では1983年に厚生省(現:厚生労働省)が添加物として使用を認可しています。
含まれる食品例)飲料、卓上甘味料、ガム、キャンディ
アセスルファムK
アセスルファムKは、塩素安定剤とスルファミン酸、三酸化硫黄から合成される人工甘味料です。
甘味度は砂糖の約200倍あり、ほんのりとした苦味が特徴。ほかの人工甘味料と併用すると砂糖に近い甘みを引き出せるため、組み合わせて使われることが多いです。
日本では2000年に使用が認可され、アスパルテームと並んで広く使用されています。
含まれる食品例)飲料、ガム、キャンディ、漬物、ジャム
スクラロース
スクラロースは、砂糖を原料に一部が塩素に置き換えられた人工甘味料です。甘味度は砂糖の約600倍にもなり、砂糖に近いまろやかな甘さが特徴です。
日本では1999年に添加物として認可されています。
含まれる食品例)スポーツドリンク、コーヒー飲料、菓子パン、アイス
サッカリン
砂糖の約500倍の甘味度があるサッカリン。人工甘味料のなかでも歴史が長く、日本では1901年から使用されています。
サッカリンは1980年代に発がん性の疑いがもたれ、日本でも一時使用が禁止された過去があります。しかし、1990年代後半に行われた再評価では発がん性が否定され、使用禁止が撤回されています。
含まれる食品例)飲料、魚介加工品、醤油、缶詰
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人工甘味料のメリット
人工甘味料の主なメリットは以下の3点です。
・摂取カロリーを抑えられる
・食後の血糖値の上昇を抑えられる
・虫歯の原因になりにくい
それぞれを簡単に解説します。
摂取カロリーを抑えられる
人工甘味料は、砂糖の何百倍もの甘味度があるため、少量でも甘い味付けが可能です。
使用量が少量でよいため、砂糖に比べて摂取カロリーを大幅に抑えられるメリットがあります。
食後の血糖値の上昇を抑えられる
人工甘味料にはブドウ糖が含まれていないため、摂取しても血糖値やインスリン値が上昇しません。そのため、人工甘味料は肥満や糖尿病の予防に有用と考えられています。
米国糖尿病学会と米国心臓病学会は、2012年に「砂糖の代わりに人工甘味料を使用することで肥満や糖尿病の予防や治療に有用な可能性がある」との見解を示しています。
虫歯の原因になりにくい
虫歯のリスクを抑えられることも人工甘味料のメリットのひとつです。
虫歯予防といえば、キシリトール入りのガムを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。キシリトールは、糖アルコールに分類される人工甘味料です。
キシリトールをはじめ人工甘味料は虫歯菌の栄養にならないため、虫歯の原因になりにくいことがわかっています。
人工甘味料のデメリット
人工甘味料には「摂取カロリーを抑えられる」「虫歯の原因になりにくい」などのメリットがある一方、気をつけておきたいデメリットもあります。
・常用すると味覚が鈍くなる可能性がある
・食欲増加につながりやすい
・糖尿病や心血管疾患の発症リスクを高める
それぞれを詳しくみていきましょう。
常用すると味覚が鈍くなる可能性がある
常用して人工甘味料の強い甘さに慣れてしまうと、甘みを感じにくくなってしまう可能性があります。
「もっと甘いものがほしい」とより強い甘みを多く摂取することにつながるため、常用するのは避けたいところですね。
食欲増加につながりやすい
食後に血糖値が上がらないのは人工甘味料のメリットですが、一方で、食べたときの満足感が得られにくい点はデメリットです。満足感が十分に得られないことで「もっと食べたい」と食欲の増加につながりやすいと考えられています。
また、人工甘味料のダイエット効果を過信して食べすぎてしまうといった心理的な要因も、食欲の増加に少なからず影響しているでしょう。
糖尿病や心血管疾患の発症リスクを高める
「人工甘味料は糖尿病の予防に有用」との見解がある一方で「糖尿病の発症リスクを高める」との報告もあります。
世界保健機関(WHO)が2023年5月に発表したガイドラインでは、人工甘味料を含む食品の長期的な摂取によって、糖尿病や心血管疾患の発症リスクが高まると発表されています。
ただしこのWHOの調査は、日本では使われていない人工甘味料も含めた調査結果です。日本と海外では食事やライフスタイルが異なるため、WHOの調査結果がそのまま日本人にも当てはまるとは限りませんが、情報のひとつとして頭に入れておくとよいでしょう。
人工甘味料を摂取するときの注意点
人工甘味料を使った低カロリー食品は、ダイエット中に甘いものを食べたいときのストレスコントロールには効果的です。また3ヶ月程度の短期間であれば、摂取カロリーを抑える効果があることもわかっています。
しかし、人工甘味料の長期的な摂取によるダイエット効果は科学的に証明されていません。
2023年に発表された世界保健機関(WHO)のガイドラインでは「砂糖やブドウ糖、果糖などを人工甘味料に置き換えることは、長期的には体重コントロールに役立たない」と結論づけられています。
低カロリー食品に不可欠な人工甘味料ですが、長期的な体重コントロールには不向きです。「砂糖と置き換えれば簡単に痩せられる」「人工甘味料ならいくら食べても大丈夫」と過信しないことが大切です。
人工甘味料に関するよくあるQ&A
人工甘味料に関するよくある質問をまとめました。
人工甘味料と砂糖はどちらが健康によい?
体質や健康状態によって体への影響が異なるため、人工甘味料と砂糖のどちらが健康によいかは一概にはいえません。
健康のためには、人工甘味料か砂糖かに関係なく、甘いものを摂りすぎないことが大切です。それぞれのメリット・デメリットを把握したうえで、どちらもほどほどに楽しみましょう。
人工甘味料に発がん性などの危険性はある?
日本で使用されている人工甘味料(合成甘味料)に、発がん性は認められていません。
人工甘味料をはじめ、国内で使用されている添加物は食品安全委員会によって安全性評価が行われ、科学的なデータに基づいて使用できる食品や使用量の基準が設定されています。
たとえば、生涯毎日食べ続けても健康に悪影響が生じないとされる「一日摂取許容量(ADI)」は、下記のように数値が定められています。
【合成甘味料のADI】(1日当たり・体重1kgに対する上限)
・アスパルテーム 0~40mg
・アセスルファムK 0~15mg
・スクラロース 0~15mg
・サッカリン 0~5mg
令和2年に行われた厚生労働省の調査では、合成甘味料の推定摂取量は一日摂取許容量を大きく下回っていることが明らかになっています。そのため、日本人の一般的な食生活であれば、合成甘味料を極端に避ける必要はないといえるでしょう。
メリット・デメリットを知って人工甘味料と上手に付き合おう
人工甘味料とは、化学合成によって作られた食品添加物のひとつです。砂糖の何百倍もの甘さがあることから、低カロリー飲料をはじめさまざまな食品に用いられています。
日本で使用されている人工甘味料は、国によって安全性が認められ、使用基準や使用量がしっかり定められています。そのため、普段の生活で極端に避ける必要はありません。
人工甘味料のメリット・デメリットを正しく把握したうえで、カロリーが気になるときは人工甘味料を選ぶなど、部分的に取り入れるとよいでしょう。
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